[プレスリリース]温度・高圧で二酸化炭素の電気分解効率を向上
未利用低温廃熱と再生可能エネルギーの利用で大気中二酸化炭素の減少も可能に

 CO₂を電気分解し、資源化する「電気化学的CO₂還元反応プロセス（CO2RR）」は、抜本的なCO₂削減手法として注目されています。これは、再生可能エネルギー（太陽電池電力）を活用して空気中のCO₂を還元することで、大気中のCO₂を削減できるだけでなく有用な物質が得られるという画期的なスキームです。
 今回、東北大学学際科学フロンティア研究所の笘居高明教授、同大学多元物質科学研究所の岩瀬和至講師、産業技術総合研究所のAlexander Guzman主任研究員、宇都宮大学の佐藤剛史教授らの研究グループは、水熱反応場と呼ばれる高温高圧水環境を利用して、電気化学的CO₂還元反応プロセスの高効率化が可能であることを実証しました。CO₂で加圧した150℃、100気圧の高温高圧水条件で電気分解を行うと、水中のCO₂の高い拡散係数^＊と溶解度により、電極へのCO₂供給が促進されるため、プロセスのエネルギー効率を大幅に改善できることが分かりました。さらに、再生可能電力に加え、工場の未利用低温廃熱の利用により、CO₂吸収量が排出量を上回る「カーボンネガティブ」な基礎化学品（メタノール）の合成が可能なことを技術アセスメントによって示しました。
 本研究成果は、米国化学会が発行する学術誌Advanced Sustainable Systemsに2024年11月6日付けで掲載されました。

^*拡散係数：媒質中での対象となる物質の拡散の速さを表す比例定数。ある濃度勾配のもと、単位時間当たりに単位面積を通過する物質の量として定義される。

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工学部　基盤工学科
教授　佐藤　剛史
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研究者総覧 佐藤 剛史 教授
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