トピックス
宇都宮大学を拠点に研究を行う根津郁実さん、農学部森林科学科の石栗太准教授らが日本木材学会のJWRS Best Paper Award 2022を受賞しました
宇都宮大学を拠点に研究を行っている東京農工大学大学院連合農学研究科博士課程3年の根津郁実さん、農学部森林科学科の石栗 太准教授らが、一般社団法人日本木材学会の論文賞「JWRS Best Paper Award 2022」を受賞しました。受賞対象となった論文は、日本木材学会が刊行し、Springer Nature社が発行するJournal of Wood Science誌に掲載された「Relationship between the xylem maturation process based on radial variations in wood properties and radial growth increments of stems in a fast-growing tree species, Liriodendron tulipifera」です。農学部森林科学科の横田信三教授、農学部附属演習林の大島潤一准教授も共著者として受賞しました。
※東京農工大学大学院連合農学研究科は、東京農工大学、茨城大学、宇都宮大学を構成大学とし、3大学が連携し教育・研究を行う博士課程後期3年のみの独立大学院です。
授賞式の様子
近年、成長が著しく早い、いわゆる早生樹の植林による木材生産が注目を集めています。石栗准教授の研究室では、熱帯地域や日本で生育する早生樹の成長と木材性質の関係解明に関する研究を進めています。本論文では、大学構内の苗畑に植栽された、早生樹であるユリノキの肥大成長と木材性質の半径方向変動を混合効果モデルにより評価しました。その結果、連年成長量および年平均成長量が最大値を示す形成層齢は、それぞれ4.9年および7.4年であること、複数の木材性質が形成層齢9年以降で安定することを明らかにしました。このことから、ユリノキでは、生態学的戦略として、肥大成長量と木材性質の間にトレードオフが存在することが示唆されました。以上の結果から、ユリノキにおいて、形成層齢9年以前と以降に形成された木部では、木材の利用用途を分ける必要があることを指摘しました。今後、これらの知見をもとに、早生樹であるユリノキを用いた高品質な木材の持続的生産が期待されます。
【関連リンク】
農学部森林科学科
東京農工大学大学院連合農学研究科