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[プレスリリース]ミジンコが概日時計を用いて日長を認識し子どもの性を切り換えていることを証明
私たち人間をはじめ多くの生物では、性(オスになるかメスになるか)は両親からどのような性染色体を受け継ぐかで決まる「遺伝性決定」です。一方で、一部の生物ではこのような性染色体が存在せず、環境に応じて性が決まる「環境依存型性決定」を行うことが知られています。宇都宮大学バイオサイエンス教育研究センターの阿部潮音さん(大学院生・研究当時)、高畑佑伍さん(大学院生)と宮川一志准教授は、日長で子どもの性が変化するという環境依存型性決定を行うミジンコにおいて、その制御に概日時計が関与することを証明しました。概日時計とは生物の振る舞いに内因性の24時間のリズムをもたらす体内時計です。本研究は、2024年4月4日付の米科学誌「Current Biology」に掲載されました。
研究チームはミジンコが日長の認識に概日時計を利用しているのではないかと仮説を立て、概日時計を構成する遺伝子(時計遺伝子)の一つであるperiodをゲノム編集技術のCRISPR/Cas9法を用いて破壊したノックアウトミジンコを作出して解析しました。作出したperiodノックアウトミジンコは長日でも短日でもメスを産み続けるようになったことから、ミジンコは概日時計を用いて短日を認識することでオスを産生していることが明らかになりました。これは生物の複雑な季節応答の制御機構の解明や、多様な性決定様式の進化過程の理解に繋がる重要な成果と言えます。
本研究から明らかになったミジンコのオス産生シグナル経路の概要
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バイオサイエンス教育研究センター
宮川 一志 准教授
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研究者総覧 宮川 一志 准教授
バイオサイエンス教育研究センター